Facilities
研究設備
Facilities
研究設備
はじめに
松田研究室では、以下に挙げた装置をはじめとして様々な装置を駆使し、あるいは製作して、電子機能性セラミックスのエピタキシャル・アモルファスな薄膜とナノ構造、ガラスやポリマーの原子スケールパターンの作製・観察・解析・分析を教員・学生ともに行っています。
Materials development
パルスレーザー堆積装置
Pulsed Laser Deposition Chamber
機能性セラミックスや金属の薄膜・ナノ材料をレーザーアブレーションを利用したPLDにより、単結晶・ガラス・セラミックス・金属・ポリマー等さまざまな基板上に成長させます。
薄膜堆積中のin-situ解析も可能なため、エピタキシャル薄膜の合成や原子層堆積などを実施しています。また、ロードロック式なので、成膜室を大気曝露することなく、基板・ターゲットの交換が可能です。
- Laser: KrF excimer laser (λ=248nm, d~20ns)
- Base pressure: ~1×10–6 Pa
- Ambience: high vacuum, O2 or N2 gas
- Temperature: R.T. – 700℃ (rear lamp heater)
- Analyses: RHEED、q-mass
- Targets: ceramics, oxide glasses, metals, etc.
熱ナノインプリント装置
Thermal Nanoimprint Chamber
ガラス転移温度近傍に加熱して粘度を下げた板・フィルムに対して、ナノスケールのパターンをもつ金型・モールドを用いて形状を転写します。日常でも見かけるハンコや封蝋、エンボス加工をナノスケールで実現します。
数nm〜分子サイズまでモールドの凹凸サイズをコントロールすることで、ガラスやフレキブルな熱可塑性ポリマーなどに超微細なパターン転写を実施しています。
- Equipment: Scivax; X-300S
- Base pressure: ~ –99.9 KPa (differential pressure)
- Ambience: air, vacuum, Ar gas
- Temperature: R.T. – 500℃. (heaters in stages)
- Targets: glasses (oxide and metals), thermoplastic polymers etc.
エキシマレーザーアニール装置
Excimer Laser Annealing System
サンプルに波長λ=248nmの紫外線レーザーを照射することにより、改質やパターニングを行います。たとえばアモルファス薄膜を前駆体とした半導体薄膜の固相結晶化や物性制御、ガラス表面の周期パターン形成に用います。
Coherent; COMPex 102。KrF excimer laser、雰囲気 air, vacuum, N2 gas。
エキシマランプ照射装置
Xe2* Excimer Lamp Chamber
試料に波長λ=172nmの真空紫外光を照射し、発生するオゾンO3や原子状酸素O(1D)も利用して改質します。たとえば基板の有機コンタミの酸化除去、ポリマー表面のエッチング平坦化、薄膜ナノ材料の表面改質を行います。
Hamamatsu Photonics (浜松ホトニクス); Flat Excimer Mini。Xe2* excimer lamp、雰囲気 air, vacuum, N2 gas。
小型卓上DCスパッタ
Compact Desktop DC Sputter
試料上に数〜数10nmの金属薄膜膜を、希薄Arガス中の直流スパッタリングにより堆積します。たとえば、電気特性の四端子測定を行うためのAu電極パターンや、パターン転写用の微粒子膜形成などを作製します。
Sanyu Electron (サンユー電子); SC-701。Au、Ag、Pt、Pt-Pdターゲット使用。
スピンコーター
Spin Coater
真空チャックでスピナーに固定された基板を高速回転させながら、ナノ粒子分散液などを滴下して薄膜を形成します。たとえば、導電性ポリマーや金ナノ粒子薄膜をガラスや単結晶基板上に作製します。
Kyowa Riken(共和理研); K-359 S-1。回転数 6000rpm max、サンプルサイズ φ4inch max。
Furnaces
高温箱型電気炉
High temperature Box Chamber Furnace
発熱体にカンタルヒーターを使用しており、高温での試料熱処理を行うことができる、プログラマブルかつPID温度制御可能な電気炉。原則として、さまざまな単結晶ウェハーや基板の表面に原子ステップを自己組織化、および超平坦化に使用しています。
Heatrex Inc。到達温度 1500°C、雰囲気 大気中のみ可。
小型真空雰囲気炉
High Vacuum Furnace
高真空および不活性ガス雰囲気下で熱処理を行うことができる、プログラマブルかつPID温度制御可能な電気炉。酸素や水に敏感な試料を非酸化性の雰囲気において焼成、また薄膜ナノ材料の還元アニーリングに使用しています。
Motoyama (モトヤマ); HV-13C。到達温度 1350°C、10−5–10−7Paの高真空、およびArガスに対応。
赤外線集光加熱炉
Near-Infrared Lamp Annealer
赤外線ランプ加熱により、SiCサセプタを介して、サンプルの急速熱アニール(RTA; Rapid Thermal Annealing)が可能な、プログラマブル加熱炉。たとえば薄膜ナノ材料の酸化や結晶性制御、アモルファス薄膜の物性制御、ナノ構造の自己組織化アニーリングなどに使用します。
Advance-Riko (アドバンス理工); MILA-3000-P-N。到達温度 1200°C、昇温 max 50°C/sec、雰囲気 大気中、真空~10–1Pa、O2 gas (1atm)。
精密小型還元雰囲気炉
Compact Precision Reductive Furnace
高真空および大気圧H2ガス雰囲気下で熱処理を行うことができる、プログラマブルかつPID温度制御可能な電気炉。主にエピタキシャルな薄膜ナノ構造を熱処理することにより、たとえば酸化物半導体から強磁性金属、また3次元構造から2次元層状構造への構造制御に使用します。
Full-Tech (フルテック); FT-01VAC-30。到達温度 1200ºC、雰囲気、大気、高真空~10–4Pa、H2 gas (1atm)。
箱型マッフル電気炉
Box Chamber Muffle furnace
試料を発熱体から遮蔽することでコンタミや炉内の局所的な温度勾配を抑制した、プログラマブルかつPID温度制御可能な電気炉。原則として薄膜試料の結晶性向上やナノ構造の自己組織化、酸化反応を目的としたポストアニーリングに使用しています。
Isuzu Manufacturing (いすゞ製作所); MRH-21UH。到達温度 1250°C、雰囲気 大気中のみ可。
卓上小型電気炉
Desktop Compact Furnace
機能は限定的ながら、プログラマブルかつコンパクトな全自動電気炉。薄膜やナノ材料サンプルのポストアニール、セラミックスターゲットの焼成・焼結、有機コンタミネーションの燃焼などに広く使用しています。
Nitto Kagaku (日陶科学); NHK-170。到達温度 1250°C、雰囲気 大気中のみ可。
Characterization
原子間力顕微鏡
Atomic Force Microscope
光てこ方式を用いて、マイクロサイズの微細なカンチレバープローブ先端と、サンプル表面との間に生じる原子間力を利用して微小な凹凸を検出します。超平坦基板や薄膜ナノ材料の表面形状をナノ〜原子レベルで観察しています。
HItachi Hightech (日立ハイテク); Nanoncute。20μm-ピエゾスキャナを搭載、AFM, DFM, FFM, MFMモードに対応。
触針式膜厚計
Stylus Profiler
触針が試料の凹凸形状に追従し、触針の上下変位を光てこ方式で検出して、段差など高さプロファイルをナノレベルで測定します。PLDなどで基板上に堆積、成長させた薄膜の膜厚測定などに使用しています。
KLA Tencor; Alpha-Step D-100。ステージ φ140mm手動、分解能 sub Å、センサ再現性 6Å / 0.1% (1σ)
紫外ー可視分光光度計
UV-Vis Spectrophotometer
分光器から出射された光をダブルビーム方式でサンプルおよびリファレンスに照射し、透過光を検出して、薄膜やナノ材料などの透過率・吸光度を測定します。光のエネルギーと波長の関係 E = hν = hc/λを用い、光学的バンドギャップの導出も行います。
Jasco (日本分光); V-550。重水素/ハロゲンランプ、波長範囲 190–900nm、分解能 0.1nm。
フーリエ変換型赤外分光光度計
FT-IR Spectrophotometer
赤外線をサンプルに照射し、吸収が生じる波数を測定することにより、分子や結合の固有振動からガラスやポリマー、その表面の結合などの分子構造を分析、評価します。
フーリエ分光法を用いた高い波数再現性と、DTGS(焦電型)・MCT(半導体型)複合型で高感度測定が可能。
Jasco (日本分光); FT-IR-6200。測定波数範囲 7800–350cm–1、最小分解能 0.25cm–1。
抵抗率ー温度特性評価装置
ρ-T Measurement System
クライオスタット(冷凍機)と小型ヒーターにより温度を制御しながら、四端子法を用いてサンプル電気抵抗の温度依存性を連続的に測定します。たとえば半導体薄膜の抵抗率ー温度依存性や金属ー絶縁体相転移温度、超伝導転移温度などを、AuやPt電極を用いて評価します。
Keithley; Model 2750 / Lakeshore; Model 331。雰囲気 真空。測定温度範囲 10〜300K。
P/N判定器
Conduction Type Determinator
加熱プローブと室温プローブをサンプルに当て、キャリアの熱励起による正負の電位差(ゼーベック効果)を検出してn/pの伝導型を簡易的に判定します。Siウェハ向けに設計されていますが、たとえば導電性が比較的良好な酸化物半導体薄膜に応用しています。
Kyowa Riken (共和理研); K-706TS。
透過・落射金属顕微鏡
Metallurgical Microscope
対物レンズを通して照明することにより、光透過が困難なサンプルを光学的に顕微観察します。たとえばPLDターゲットやバルク・薄膜サンプルの表面・破断面の形状や熱処理・光照射の影響を比較的マクロなスケールで観察し、モフォロジーを評価します。
Olympus BX-60。対物倍率 x100、接眼倍率x10 (視野22)。
マイクロビッカース硬度計
Micro Hardness Tester
サンプル表面にダイヤモンド圧子をサンプルに押し込み、圧痕の解析により硬度を測定します。たとえば、PLDターゲットやガラス基板において、熱処理、プレスなどによる構造や内部応力の変動に伴うビッカース硬度(HV)変化の評価に使用します。
Shimadzu (島津製作所); HMV-1。試験力 0.098~9.8N、長さ測定分解能0.01μm。
示差走査熱量計
Differential Scanning Calorimetry
サンプルを昇降温したときに生じる相転移など、熱流の変化を伴う現象・反応に特徴的な吸熱・発熱など熱特性を測定します。たとえば酸化物ガラスやポリマーのシート・粉末状サンプルのガラス転移や結晶化、吸着水の脱離などを評価します。
Hitachi Hightech (日立ハイテク); DSC 7020。雰囲気 大気、Arガス。測定温度 <250°C (大気中の場合)。
Shared Equipments
研究室で保有している装置のほかにも、学内外の共通機器の活用や、共同研究による装置利用により材料合成と解析・分析の研究を推し進めています。
薄膜X線回折装置
Thin Film X-ray Diffractometer
Ge 220結晶モノクロメーターで単色化したX線(CuKα線)の回折により、薄膜構造を解析します。光学系・軸・検出器が多数のオプションから選択可能なため、高配向薄膜のout-of-plane、in-plane、極点図、逆格子像、反射率などを測定します。たとえばエピタキシャル 薄膜の結晶相、結晶性、配向性、格子歪などを評価します。
Rigaku (リガク); SmartLab。東京科学大学 フロンティア材料研究所 共同利用研究拠点。
粉末X線回折装置
Powder X-ray Diffractometer
X線(CuKα線)の回折により、薄膜やバルクの構造を解析します。主に対称性out-of-planeの2θ-θ(ω)、2θ(ω)、θ(ω) rockingと測定軸は限定的ながら、サンプルによっては必要十分な機能を提供します。たとえばPLDターゲットの結晶相同定や、アモルファス膜や無秩序配向膜など異方性の低い薄膜の評価に用います。
Rigaku (リガク); RINT-2100V。東京科学大学 物質理工学院 北本研究室。
X線光電子分光装置
X-ray Photoelectron Spectrometer
サンプルへのX線照射により表面から放出される光電子のエネルギーを分光して、含まれるイオン・原子の化学状態を分析します。たとえば酸化物・窒化物の薄膜を構成する遷移金属などカチオンの価数その変化などを、標準試料と比較して評価します。
ULVAC-PHI; PHI5000 VersaProbe。東京科学大学 物質理工学院 共通分析機器。
放射光解析
Synchrotron Radiation Analyses
大型放射光施設で得られる、波長が短く輝度も高い硬X線を用いたSR-XRD、HAXPES、XAFSなどの測定により、超精密構造解析を行います。たとえば超微細ナノ材料や特異組成をもつ固溶体エピタキシャル薄膜の結晶構造、化学状態、局所構造を解析する共同研究を行なっています。
SPring-8 BL15XU, BL01B1。高輝度光科学研究センター(JASRI)。
熱電特性評価装置
Thermoelectric property measurement system
プログラマブル電気炉内(He雰囲気)においてサンプル片端を加熱してサンプル内に温度勾配を設け、四端子法などによりSeebeck係数や電気抵抗率などを測定します。たとえば酸化物エピタキシャル薄膜、アモルファス薄膜、結晶化ガラス膜などの熱電特性を評価します。
Advance Riko (アドバンス理工); ZEM-3M8。測定温度 <800°C。東京科学大学 物質理工学院 木村研究室。
波長分散型蛍光X線分析装置
Wavelength-dispersive X-ray spectroscopy
サンプルへのX線照射により放出される蛍光X線を検出、分光して波長分布を測定することにより、含まれる元素を分析します。たとえばPLDや溶液法により合成した複数の元素を含む薄膜の組成やその比率を分析したり、おおよその膜厚も評価します。
PANalytical; PW2404。東京科学大学 物質理工学院 舟窪研究室。
装置利用・共同研究について
松田研究室で保有する各種装置を用いた薄膜合成やアニーリング、観察・測定などのご相談も受け付けています。装置利用や共同研究にご興味がある場合は、松田准教授まで電子メールでご連絡ください。
matsuda@@mct.isct.ac.jp (余分なな@を削除してください)